横山幸雄オールショパンコンサート(Vol.2)のご報告

GW最中の5月2日、横山幸雄さんによる『軽井沢で楽しむオールショパンプログラム ショパン生誕200年特別企画 Vol.2』が開催されました。
軽井沢は桜が咲き始めの春の装い、当日は天候にも恵まれ、近隣の別荘や東京方面などから大変多くのお客様にお越しいただきました。
昨年11月2日開催のVol.1では「エチュード作品10&25」全曲や「ノクターン1,2番」などの初期の作品が中心でしたが、今回のVol.2では「プレリュード」全曲や「バラード1番」などといった、ショパンがパリに移つる前後からジョルジュ・サンドとの生活を始めた20代の作品が中心でした。

プログラム
第一部
 アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
 バラード第1番 Op.23
 幻想即興曲
 ノクターン第20番 遺作
 スケルツォ第2番 Op.31
第二部
 24の前奏曲(全曲) Op.28
アンコール
 プレリュード嬰ハ短調 Op.45 
 ノクターン第17番 Op.62  
以後ピアニストも交えたティータイム(約1時間)

   

わずか1日でショパン全曲を弾き切るという世紀のコンサートを翌々日に控えて、全ての曲が勢いに満ち溢れ、上質で完成度の高い演奏となりました。ここではその中でも特に印象に残ったものをお伝えしたいと思います。
第一部では一曲目の「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」がとりわけ心に残りました。前半部分のアンダンテスピアナートでは、まさしくスピアナート(イタリア語で滑らか)という言葉以上に、左手のアルペジオに包まれたメロディーが、優美な天上の響きを醸し出していました。アトリエ常設の2006年製プレイエルピアノの甘くきらめく音色が、今回のコンサートの中では最も繊細に生かされた演奏のひとつであったと思います。
またポロネーズに入ってからのハ短調への転調部分でも、その哀調帯びた右手の旋律が切なく歌われて、聴き手の心を大きく揺さぶりました。
いくつものシーンに分かれる12分余りの大曲ですが、各主題の特色を十二分に発揮させながらも一作品としてきらびやかにまとめ上げ、コーダにかけて自然に盛り上げて行く演奏は横山さんならではのものでした。 

   

第二部はプレリュード全24曲という聴き応えのあるプログラムでした。この曲も当時のプレイエルピアノの社長、カミーユ・プレイエルに捧げられたもので、アトリエ常設のプレイエルピアノとゆかりの深い作品です。
さて前回のエチュード全24曲(作品10&25)同様、横山さんの全曲演奏は全てを聞き終えた後に味わう充実感が非常に大きいように思われます。ご承知の通り通常のコンサートでは、どちらも作品中の一部が演奏されるケースが多いため、今回のように一度に全曲演奏するという場合、そのボリウム感に耳を奪われがちです。しかし横山さんの場合は各曲の完成度が損なわれることなく、4番の深い悲しみ、18番の緊迫感、そして激動の24番などといったそれぞれの個性を際立たせながら、作品28全体を壮大な抒情詩の如く聴かせるあたりは特筆すべき点です。
このような才能に恵まれているからこそ、16時間もかけてショパンの全166曲を暗譜で、しかも通常のコンサートと変わらぬ完成度を維持しながら弾きこなすという神業が可能になったのだと感じました。
アンコールについても上質で木目の細かなショパンが表現されました。特にラストのノクターン17番はジョルジュ・サンドとの破局後の1846年に作曲された晩年の作品だけあって、深い絶望感の中にも光明を見出そうとする作曲家の境地が安らかに歌われていました。そして右手の長いトリルが主旋律を奏で始めた終盤、アトリエの天窓から幾筋もの光が注がれて、ショパンの魂が再びピアニストに乗り移った様を見た気がしました。
今回もピアニストの横山幸雄さんと、遠くからもお出でいただいた多くのお客様に心から感謝申し上げます。            
   
   

なお次回のオールショパンコンサートは7月18日(日)開催、同じく横山幸雄さんの演奏で、作曲年代順全4回シリーズの3回目となります。曲目はソナタ2番、バラード4番、幻想曲、英雄ポロネーズ、ノクターン13番ほかで、ご予約は6月18日からの受付です(定員50名様)
トップシーズン幕開けの旧軽井沢で、皆様のお越しを心よりお待ちしております。 
 
          
    


【2010/05/11 23:55】 コンサート報告 | TRACKBACK(-) | COMMENT(-)
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