池田龍雄展と竹村浄子オールショパンコンサート

池田龍雄展が8月8日から開催されています。
今回は未公開作品を含む絵画やボックスアート、また立体など50点以上の作品を展示しています。
    傷痍 

どの作品も作者の前向きな個性と、旺盛な行動力に裏打ちされた説得力が見る者を圧倒します。
中でも包帯を巻いたギターにいくつもの銃痕が残る「傷痍」(立体)は、作家自身の過酷な戦争体験を象徴するかのようで、原爆投下や終戦の日と重なり強いメッセージ性を有しています。しかし軽井沢の森に抱かれて、その包帯の白さからはむしろ爽やかな印象さえ受けるのが不思議に思えます。
また芥川龍之介の短編「蜘蛛の糸」に登場するカンダタをイメージしたという「カンダタ」(絵画・ミクストメディア)は、釈迦が地獄に投げ入れた蜘蛛の糸を象徴するかのようなチェーン=鎖と、血の色をした炎が見る者を心の闇に引きずり込みます。ただその物語性とは相反して、バックに描かれた深い地獄の青がギャラリーの天窓から注ぐ光と呼応する時、仄かな救いを感じるのは私だけでしょうか?
やはりどの作品も見る者を遠ざける疎外感はありません、むしろ人懐っこささえ感じます。
戦争体験以降、激動の日本社会において、一貫して前衛分野をひた走って来た作者自身の突き抜けるような明るさと、俗世を超越した強い精神性が幾筋もの光明を放っている、私にはそう思えてなりません。
池田龍雄展は16日の日曜日までです。 

  


変わって8月9日はピアニスト・竹村浄子さんによる第9回軽井沢で楽しむオールショパンプログラムが開催されました。 当日は小雨混じりの蒸し暑い日曜でしたが、大変多くのお客様にお集まりいただきました。 
曲目は
バラード第3番 作品47
エチュード作品10の3 「別れの曲」、作品10の5 「黒鍵」
プレリュード作品28より 1,2,3,4,7,15,18,20,21,22,23,24番
     休憩
ノクターン作品27の1、作品27の2
マズルカ作品17-2、作品24の2
ポロネーズ作品61 「幻想ポロネーズ」
     アンコール
「子犬のワルツ」
「幻想即興曲」
     以後ケーキタイム
でした。
 
  

鮮やかなブルーのドレスで現れた竹村さん、冒頭からバラード第3番を奏で、その深い音色と説得力で私たちを魅了しました。
またプレリュードではまるで短編小説を披露するように、それぞれの曲を表現力豊かに演奏してくれました。
お得意のトークも冴えて、ショパンがサロンで好んでプレイエルピアノを弾いた話や、当日のコンサート直前に出向いた近くの「軽井沢ショー記念礼拝堂」での、長崎原爆投下慰霊の鐘を聴いた貴重な体験=「祈り」を興味深く聞かせてくれました。
第二部の始めには、ショパンが続けて弾くのが常だったというノクターン作品27の2曲を、まろやかなベールに包んだように奏でました。
晩年の作品、幻想ポロネーズでは、大曲を見事にひとつにまとめ上げ、私たちに作曲家の残した意思を伝えてくれました。
プレイエルを大変気に入って弾いてくださった竹村さん、その様子はピアノとまさしく一体となり、さらに遠いところまで甘美な音色を響かせてくれました。
そしてアンコールの「幻想即興曲」では、ショパンの魂が私たちにピアノの奥深さと楽しさを伝えるために、再び軽井沢の森に舞い降りたのを実感しました。
ピアニストの竹村浄子さんとたくさんのお客様に、心から感謝申し上げます。


    

【2009/08/11 01:13】 絵画展・コンサート報告 | TRACKBACK(-) | COMMENT(0)
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野坂徹夫展と小泉耕平オールショパンコンサート

7月25日より野坂徹夫さんの絵画展が始まりました。
物語を垣間見るように、静かな心象風景を優しい色と線が綴っています。
見る者の心の奥深くに、淡い照準を当てているようでもあります。
ギャラリーに腰掛けて絵を眺めていると、彼の絵を通して素の自分を見つめている、そんな気持ちにとらわれたりもします。
絵を見るというよりは、絵と向き合う自分と対話する、そんな雰囲気が当てはまる展覧会かもしれません。
会期は8月7日(金)の16時まで、みなさんどうぞお見逃しなく・・・。
 

      
 
     


また8月2日には小泉耕平さんのオールショパンコンサートが開催されました。
当日は小雨混じりの冷たい午後でしたが、ほぼ満員のお客様にお集まりいただきました。
曲目は
 第一部
即興曲
第1番 作品29
即興曲
第2番 作品36
即興曲
第3番 作品51
即興曲第4番 作品66 「幻想即興曲」
序奏とロンド
作品16
 第二部
夜想曲8番
作品27-2
ピアノソナタ第3番作品58
 アンコール
スケルツォ第4番 
でした。

 
   


第一部の即興曲では、フレッシュな緊張感がプレイエルピアノの響きを通じて伝わり、鮮烈さとすがすがしさを感じました。
また演奏されることが比較的少ないと言われている「序奏とロンド」では躍動感が広がり、随所に若かりし頃のショパンの息吹を感じました。
一転して第二部のソナタでは開放感に溢れ、伸びのある中高音とスケールの大きさが聴く者を圧倒していました。
またノクターン8番では小泉さん独特のまろやかさを感じることが出来、歌うようなピアノを垣間見せてくれました。
今回のオールショパンコンサートでは、奏者の張り詰めたエネルギーと躍動感が、聴く者の多くに爽快感と心地よさをもたらしてくれたようです。
ピアニストの小泉さんと、遠くからもお出でいただいたたくさんのお客様に深く感謝申し上げます。

なお次回は池田龍雄美術展(8月8日〜16日)と、竹村浄子オールショパンコンサート(8月9日)の様子をお伝えします。


【2009/08/05 17:15】 絵画展・コンサート報告 | TRACKBACK(-) | COMMENT(0)
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